2010年6月13日日曜日

危機一髪4

「未知の沢を下る?!
イヤイヤ、それだけはいかん。やはりもとに戻って
一から出直し、もう一度 登って来たあの傾斜面
(けいしゃめん)を捜すべきではないのか。

それを考えていたその時、
何故かフトあることに気がついたのです、
「そうだ、最初 天王山の頂上から馬の背(尾根)を下るさい、
私は多分下り過ぎたのだ。下り過ぎたので
全く別の沢の上に出てしまったのではなかろうか!」

事実が本当にそうなのか、そうでないのかは分からない。
いずれにせよ、その時はもう他の選択肢(せんたくし)は
無かった、それに賭(か)けるしかなかったのです。

いよいよ尾根をおり始める。
その唯一の選択肢の故、
先回と比べれば 馬の背をずいぶん早めに
右に旋回(せんかい)することになる。
そしてついに「運命の」あの谷に向かう。
もしこれでダメなら 本当にアウトだ。

脚(あし)の筋肉も これ以上の酷使(こくし)には
耐(た)えられないそうもない。少し痙攣(けいれん)が
出てきた、これは相当ヤバイ。
今晩は野宿かもしれない。それはやむを得ないとしても
朝は随分(ずいぶん)冷えるだろう。
空腹には耐(た)えられるだろうか。

どんどん下る、すると
ほどなく、見覚えのあるわが「奥の沢」の
一部が見えて来たのです!
登って来たピンポイントではないが
間違いなく あの沢の右上方には違いない。
よく知っている伐採(ばっさい)後の風景がその証拠だ。
・・助かった、本当に助かったのだ。


奥の沢におりると
天王山を仰ぐ空は既に
紫色の薄暮(はくぼ)。

小屋に向かう遠くの山で
ヨタカが啼(な)き始めました。

6 件のコメント:

Luke さんのコメント...

あの付近でも遭難したら、死ぬことなどもあり得るのでしょうか?
今回はスリルがある記事でした。

Mr.Sugar さんのコメント...

ハイ、十分可能性があります。

最近 中高年達の
「更に身近な里山」での遭難が
話題になっているほどです。

これは「いわゆる登山」とは
全く別の世界でしょう。
特に私の場合はネ。

ホンとに危ない所でした。
以後気をつけたいと思います。

武州の鳩 さんのコメント...

昨夏、山小屋からの帰り、こういったことはないのかな?と我が家でも話ていました。

御無事でなによりです。

Mr.Sugar さんのコメント...

有難う。

今回、もし遭難したとしても
誰かが私の不在に気付くのは 
10日後であれば早い方でしょう。

それからようやく
捜索になるのでしょうが それも
雲をつかむような捜索になるでしょう。
だから発見不能の可能性も十分あります。
いずれにしろ人様には 随分 
迷惑な話です。

これで私は 意外に
無鉄砲なところがあるのです。

このような者のために お祈りください。

O さんのコメント...

主に感謝します。
本当によかった。
物理的に離れてはいても主許し給わばまだ地上にあってお交わりをしたいですからね。
ご家族も、いなくなられたら困りますから。

Mr.Sugar さんのコメント...

ほんとにそうです。

なんだか皆様に 
ごめんなさいと
言いたい気分です。