2009年10月23日金曜日

獄中のウオッチマン ニー(10)

その時、彼の病状は非常に重く、そして更に老化が進み、
事実 やっとのことで歩いている と言うのが現実の姿でした。
私たちの寝起きしている所から、食堂までは、60~70メートルも離れて
いました。私たちの居住地は低い所にあり、食事の場所は坂の上の
道路付近にありました。食堂まで行って、ご飯を運んで来るためには、
二つもの丘を越え 更に、道路を横切らなければなりません。
弱り果てたニー兄弟には それは到底不可能なことでした。

ですから、毎日、私が彼のために、三度の食事を運んだのです。
所がある日、役人が私を執務室へ呼び出し、言ったのです。
「なぜあなたは毎日、ウォッチマン ニーの食事を運んでいるのか」と。
私は答えました、「彼は年を取っており、病気で身体が弱っています。
彼が丘を二つも登ること等 とてもできません。
だから、私が彼のために食事を運んでいるのです。
これは当然のことではないでしょうか。」

ところが、思いもよらないことに、役人は怒った顔で言ったのです。
「そんな事はデタラメだ。ニーは仮病を使っているのだ。ニーに 自分で
食事を運ぶように伝えろ。おまえはもう二度と運んではならない。」
しかし、彼らがニー兄弟に対して 単に嫌がらせをしていることは
明白でした。だから私は、彼らの言葉を気にとめませんでした。

所が、数日後のことです。
私が食堂から食べ物を運ぼうとしていた時、
厨房にいた係りが私に言いました、
「今後いかなる人も ウォッチマン ニーの為に食事を運んでは
ならない。これは上部からの命令だ。だから彼はこれから 自分で
食事を取りに来なければならない。」
その時に至り、私は最早 アンクル ニーに 一部始終を ありのまま
話すしか なすすべがないことを知りました。

私は彼が聡明な人であることを知っていました。
そこで私は、「何か良い方法がないものでしょうか」と彼を
促したのです。私は 彼のそばに座って、ニー兄弟が何か良い考えを
思いつくのを待ちました。しばらく待った後、ついに彼が口を
開きました。彼は言いました、
「私は総てを、あるがままに任せたいと思います。」
私はとても驚きました。それは、彼が総てを 状況に委ね、
ただ、主の主権の中の采配に従いたい、ということなのです。
しかし私は心配のあまり 彼に言いました。
「どうしてあなたは そんなことが言えるのですか、
あなたは生きたくはないのですか、食べたくはないのですか!」

しかしながら、その時 私はそれ以上 彼に抗議をしたくは
ありませんでした。それで私は、自分の食事を 彼に分けて
食べさせる以外に方法はない、と思いました。

その時です、主を賛美します。主は 私のような愚かな人間にも、
あるアイディアを下さったのです。それはこうです:
私はその時まで、「5両の」ご飯しかもらっていませんでした。
けれども、私は係りに 重労働の故に、もう一両ください、と
申し出ることができる事に気がついたのです。
係りが そのことで疑い持つことはあり得ません。だから、
私は 6両のご飯を居住地に運んで来て、ニー兄弟に 
2両 食べてもらうことが出来るのです。

彼は年を取っていますから、それで十分でしょう。
私は4両 食べます。私にとっては それは今までよりは
少し少ないのですが、まあ何とかなるでしょう。

そのようにして、私たちは 毎日食事を分け合うことになり
この大きな難局を どうにか切り抜けることが出来たのです。

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