2009年5月30日土曜日

最後の日々

*柄沢登兄弟の家で(3)*

医師が到着されました。
ある条件のため、モルヒネに代わる一つの強力な鎮静剤が、
兄弟姉妹が静かに見守る中、遂に彼の体内に投与されました。
これ以後、兄弟の方から、人の言葉による皆さんへの
意思の伝達は一切不可能となったのです。

思えばつい先ほど、あの「真夜中の礼拝」の中、
兄弟が、その衰えた肉体の中で真実に歌った、
イエスを褒め称える最後の賛美と、主に捧げられた小さな祈りは
極めて価値あるものであった、と言えるのです。

投与後10分、彼の寝息は深く穏やかになり、誰の眼にも、あの
激しかった嘔吐等の苦しみは、その肉体から完全に離れ去った
ことが感じられました。
それは確かに、イエスから直接与えられた「彼に対するあの約束」が、
既にその生前、その言葉通りに実現されたかのようでした。


そのような兄弟のベッドのかたわらにおいて、
姉妹達の「礼拝」は毎朝続けられました。

その間、信仰の言葉によって、
姉妹達が彼の手を握ると、兄弟は握り返したこと、
声による呼びかけには、かすかにうなずいたこと、また
手を動かして反応することなどが確かに認められました。
それらの彼の動作は即ち、あの15日の深夜、皆さんと交わした
「あの約束」を兄弟はシッカリと実行されたと言うことです。

本当に主に感謝します。
これも確かにキリストイエスにある尊いコイノニヤ(交わり)
であったのであり、更に言うならば、姉妹達はその数日、主に愛され、
主の御使いの手によってアブラハムの懐の「完全な安息」に今にも
もたらされようとしていた一聖徒との、極めて貴重なコイノニヤを
楽しんでいたのではないでしょうか。

そんな中、
彼は自ら、両手を胸の上に組む姿勢をよく取っていたのですが、
それはあたかも、彼がずうっと主との交わりの中にいたかの
様であった、と姉妹は言われるのです。

5月19日、午後
外部からの入浴サービスが行われ、全身ツルツルになって、
気持ちよさそうな登さんの様子を見て、不思議にもそこにいる
全員が、とても明るく幸せな気分にされたと言います。

そして、20日の朝8時、
少し呼吸が浅くなったのかな、と思われる中、
一人の姉妹が彼の手を取り祈っていた、正にその中で、遂に彼は、
この地上における最後のひと息を呼吸されたのです。

2 件のコメント:

武州乃鳩 さんのコメント...

記事に関係ないコメント失礼します。

私のブログにて、こちらのブログを紹介させていただきます。もし不都合、ご指摘等ありましたら、お知らせ願います。

http://blogs.yahoo.co.jp/g_topspeed/17592259.html

Mr.Sugar さんのコメント...

有難う。

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楽しみです。