*柄沢登兄弟の家で(3)*
医師が到着されました。
ある条件のため、モルヒネに代わる一つの強力な鎮静剤が、
兄弟姉妹が静かに見守る中、遂に彼の体内に投与されました。
これ以後、兄弟の方から、人の言葉による皆さんへの
意思の伝達は一切不可能となったのです。
思えばつい先ほど、あの「真夜中の礼拝」の中、
兄弟が、その衰えた肉体の中で真実に歌った、
イエスを褒め称える最後の賛美と、主に捧げられた小さな祈りは
極めて価値あるものであった、と言えるのです。
投与後10分、彼の寝息は深く穏やかになり、誰の眼にも、あの
激しかった嘔吐等の苦しみは、その肉体から完全に離れ去った
ことが感じられました。
それは確かに、イエスから直接与えられた「彼に対するあの約束」が、
既にその生前、その言葉通りに実現されたかのようでした。
*
そのような兄弟のベッドのかたわらにおいて、
姉妹達の「礼拝」は毎朝続けられました。
その間、信仰の言葉によって、
姉妹達が彼の手を握ると、兄弟は握り返したこと、
声による呼びかけには、かすかにうなずいたこと、また
手を動かして反応することなどが確かに認められました。
それらの彼の動作は即ち、あの15日の深夜、皆さんと交わした
「あの約束」を兄弟はシッカリと実行されたと言うことです。
本当に主に感謝します。
これも確かにキリストイエスにある尊いコイノニヤ(交わり)
であったのであり、更に言うならば、姉妹達はその数日、主に愛され、
主の御使いの手によってアブラハムの懐の「完全な安息」に今にも
もたらされようとしていた一聖徒との、極めて貴重なコイノニヤを
楽しんでいたのではないでしょうか。
そんな中、
彼は自ら、両手を胸の上に組む姿勢をよく取っていたのですが、
それはあたかも、彼がずうっと主との交わりの中にいたかの
様であった、と姉妹は言われるのです。
5月19日、午後
外部からの入浴サービスが行われ、全身ツルツルになって、
気持ちよさそうな登さんの様子を見て、不思議にもそこにいる
全員が、とても明るく幸せな気分にされたと言います。
そして、20日の朝8時、
少し呼吸が浅くなったのかな、と思われる中、
一人の姉妹が彼の手を取り祈っていた、正にその中で、遂に彼は、
この地上における最後のひと息を呼吸されたのです。
2 件のコメント:
記事に関係ないコメント失礼します。
私のブログにて、こちらのブログを紹介させていただきます。もし不都合、ご指摘等ありましたら、お知らせ願います。
http://blogs.yahoo.co.jp/g_topspeed/17592259.html
有難う。
お気に入り に登録させて頂きました。
楽しみです。
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