*柄沢登兄弟の家で(2)*
それは、
5月14日から15日にかけての夜のことでした。
佐倉の柄沢良子さんから、となり町・酒々井(シスイ)在住の
お姉さん、渡辺姉妹に突然電話があり、渡辺ご夫妻はあたふたと、
真夜中1時45分、柄沢家に駆けつけたのです。
着くとベッドの上に上半身を起こした登兄弟は、
シッカリとした表情で次のように言われたといいます。
「実を言うと、イエス様が私に語られたのですよ。
:これまであなたはとても苦しんだ、
しかし、忍耐はもうそれで充分です」と!
「ですから、私はこれで安心です。もう痛め止めの座薬は
使いません。たとえ私は意識を失うとしても、これから医師に
来てもらい、注射(モルヒネ)を打ってもらいたい、
と思っているのです。」
続けて、兄弟、
「皆さん、本当に有難うございました。これは先ず、
私の妻に心から言うことです。そして和博さん達、
これまで大変お世話になりました。」
驚いた皆さんは、そう言う登さんを「励まし」
「まあまあ、大丈夫だから」と言ったのですが、
兄弟の決意は随分しっかりしたものであったそうです。
ですから更に、
次のようなことに話は移って行ったのだと言います。
「登さん、その注射をすると、たとえ登さんに意識があった
としても、話はもう出来なくなるそうですよ。ですから、
その時のために、登さんの方からの合図を、今決めておきましょうか。
そんな時、こちらかはドンドン語りかけるからね。」
その話が終わったとき、登さんの顔に安心の表情が浮かび、
その部屋の中に一段落ついた、と言う空気が漂よったのです。
*
賛美を歌うことになりました。
そして、登兄弟がそれまでの短い信仰生活で覚えた三曲を、
少し近所に気兼ねしながら、皆で歌ったのです。
♪賛美、賛美、ハレルーヤ・・
♪栄光、イエスにあれ!・・
登さんは苦しげな中、吐き気を覚えつつも、
声を出してシッカリと歌ったと言います。
更にその後、彼はハッキリと言いました、
「イエス様、有難う、感謝です!」
15日深夜から、夏の早い夜明けに至るその時間、
四人は、医師の到着を待ちました。
それは真に「真夜中の礼拝」であったと言えるでしょう。
0 件のコメント:
コメントを投稿